VOL.17

循環型社会をめざし、独自の発酵技術で米エタノールを製造・販売

株式会社ファーメンステーション 代表取締役 酒井里奈さん
生ごみから燃料を作るという発酵技術に魅せられて、32歳で大学に入り直し発酵技術を学び、お米から米エタノールを製造・販売する事業を展開されている酒井さん。田んぼや工場のある岩手県奥州市と東京を行ったり来たりしながら、精力的に活動されている酒井さんにお話しを伺いました。

[ 企業プロフィール ]
  ・事業名:株式会社ファーメンステーション
  ・設立年月日:2009年
  ・URL:http://www.fermenstation.jp/
  ・事業内容:米を原料とした米エタノールの製造・販売、米エタノールを原料とした化粧品・雑貨の
   商品開発および販売、未利用資源(米発酵時にでる副産物、米もろみ粕等)の商品開発および販売

休耕田を活用して栽培したお米で、米エタノールを製造しています

事業としては、岩手県奥州市の休耕田で栽培した無農薬米を独自の発酵技術を使って米エタノールを製造し、化粧品やアロマなどの原料として販売しています。また自社でもブランドを立ち上げ、消臭スプレーやアウトドアスプレー(虫よけスプレー)を販売しています。工業エタノールとは異なり、原料由来がわかるエタノールとして付加価値の高いものとなっています。その他にも、エタノール製造の段階で出る副産物や未利用資源を活用した商品開発をしています。具体的には米エタノールの製造段階ででる米もろみ粕を使った石鹸や、鶏の飼料などを商品化しています。

 

生ごみを発酵させて燃料にするプロセスに魅せられて32歳で再び大学へ

大学卒業後は、金融関係の企業に勤めていました。その後ベンチャー企業に転職したりしましたが、30歳の時にあるテレビ番組で、東京農業大の先生が発酵技術を使って生ゴミを燃料に変えることを紹介していました。もともと環境問題に興味がありましたし、無駄なものが有益なものになるというプロセスにとても興味を持ちました。それですぐその大学のオープンキャンパスに通い、32歳で東京農業大学に入学しました。その在学中に岩手県奥州市と大学の共同研究事業があり、お米からエタノールを作るという実証実験にメンバーとして関わりました。共同研究は3年間で、米から純度の高いエタノールを抽出することに成功しましたが、非常に原価が高いものとなり、当初の目的であった燃料として利用するにはあまりにも高くて厳しいという結論に・・・ 。それでその米エタノールを化粧品などの原料として利用することを提案し、市の研究事業から引き継いて私の会社で製造・販売することになりました。

もともと仕事が趣味なので、毎日とても楽しくやっています。

起業して良かったと思うのは、仕事が毎日とても楽しいことです。
もともと仕事が大好きで、仕事は趣味ですし、仕事がなくなったら何をしていいかわからない感じです。父はサラリーマンで仕事に命をささげるように働いていましたが、自分は絶対あんな風にならないと思っていたのに、その姿を見て植え付けられてしまったのかもしれません。また起業したことでいろいろな人と出会うようになりました。あのまま金融企業に勤めていたらたぶん出会わなかったような分野の人に出会い、知り合い、仲よくなったりしています。今、岩手の工場には2人のスタッフがいるのですが、月3回のペースで岩手に行ったり、朝スカイプでやりとりしたりして、東京にいながらも奥州の生活を感じながら、家族みたいに楽しくやっています。

 

逆に大変なことはあまり記憶にないですね。大変だったことは終わったら忘れてしまうタイプです。ただ岩手工場を引っ越さなければならなかった時は少し大変でした。次の場所がみつからなくて・・・。その時は周りのみんなが心配して探してくれてなんとか次の所が見つかりました。運命論者ではないですが一生懸命やっていると必要な時に必要なものがやってくるという気がします。以前、柱になっていた女性が結婚して辞めたいといった時も、とても困ってどうしようと思っていたら、その翌日に今のスタッフと出会いましたし、テレビ出演のお話をいただいて売上が向上するような幸運もありました。人にもよく言われますが自分でも“引きがいいな”と思います。困ったことや必要なことを常に口に出して言い続けているのがよいのかもしれません。黙っていては誰も何も動きませんから・・・。
また家庭のことや子育てをしながら月3回の岩手出張は大変ではないですかと言われたりしますが、大変というよりはいい息抜きにもなってよいペースとなっています。
留守を預かる主人の方が大変かもしれませんね。

私にとって起業とは「好きなことやるためのもの」です。好きなことをやるためには起業しかありませんでした。こういうことをしている会社があれば就職したかもしれませんが、なかったから自分の会社でやったのです。好きなことを仕事にしていて本当にいいねって家族から良く言われます。それに今やっている事業は他の誰もやっておらず、自分にしかできない事業、自分だからこそできた事業だという思いもあります。

無駄なものがない環境循環型の社会を目指して

今後の展開として、まず自社の商品については今年桃の種を使ったボディーローションや、シナモンの香りのスプレーを発売する予定です。シナモンは女性にとってホルモンのバランスを整えると言われていて、自分もそうですが頑張って働いて疲れている女性たちに使ってもらいたいと思っています。また周りからは、こんなにいいエタノールを作っているのなら石鹸のあとに使う化粧水や乳液を作って欲しいとの声も頂いているのですが、新しい商品を作るのは在庫の問題もありなかなか大変なので今は検討中です。

また会社のビジョンとしては「由来のわかるちょっと面白いエタノールといえばファーメンステーション」と言われる存在になりたいと思います。雑味はちょっとあるけどよい香りのする米エタノールとして広く知ってもらいたいですし、エタノールは選べるものだと気づいて欲しいと思います。
さらにもう少し大きな話をすれば、エタノールに限らず、無駄なものがない社会を作るお手伝いがしたいと思います。今開発している桃の種を使った商品開発もそうですし、他にもいいものになりそうだけど現状捨てられてしまっているものを使って付加価値のある商品を作っていきたいと思います。この奥州事業を通して経験を積んできたので、この環境循環型の奥州モデルをもっと広めていきたいと思います。

あとに続く後輩達にメッセ―ジをお願いします。

私にとって起業は目的ではありません。学生さんにもよく聞かれるのですが「起業したいのですがどうしたらいいのですか」と。なんでもいいから起業したいというのは続けるのが大変だと思います。やりたいテーマがあったら起業したらいいのではないかと思います。私はやりたいことを探すのに10年以上かかりましたし、起業は急がなくてもいいと思います。
また女性はライフステージが変わっていく中で、選択肢のひとつとして起業はとても良いのではないかと思います。私も今は自宅兼会社なのでご飯を作りながら仕事をしたり、洗濯しながらメールを書いたりしています。出張以外は家にいるので子供と接する時間も会社に勤める人よりはだいぶあると思います。起業は責任も重いけど裁量もあるので、ある程度自分のペースでできますから、女性にとって起業は合っているかもしれません。

インタビューを終えて

酒井さんにはこの3月、当センターの耳よりサロンセミナーにもご登壇いただきました。セミナーに参加できなかった方のためにもぜひ酒井さんの活動をお伝えしたいと思い、このインタビューとなりました。東京と奥州を月に何度も行ったり来たりしながら、仕事と家庭を両立させ忙しい日々をおくっていらっしゃる酒井さんですが、本当に楽しそうに事業のこと、奥州の人々とのつながり、今後のビジョンなどをお話してくださいました。仕事そのものが好きだということ、そしてなによりもこの事業は自分にしかできない、自分だからこそやれるという想いがパワーの原動力になっていると思います。今年はあらたな商品の発売も決定し、BtoBビジネスも拡充され、さらなる発展を遂げられることと思います。
(インタビュアー:滝)

 

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