VOL.18
多世代×多業種型のシェアオフィスやシェアキッチンを展開
株式会社ゲートウェイ 代表取締役社長 広瀬新朗さん
“シェアする”という考え方や仕組みのもとで、いろいろな「場」を提供する事業を展開されている株式会社ゲートウェイの広瀬さん。今回はセンターから徒歩2分くらいのところにあるシェアオフィスnagaya8fにお伺いしてお話を聞きました。
[ 企業プロフィール ]
・会社名:株式会社ゲートウェイ
・設立年月日:2012年3月
・URL:http://gateway-inc.co.jp/
・事業内容:シェアオフィス事業、シェアキッチン事業、シェアスペース事業、
地域活性化事業、海外シェアオフィス事業
事業の中心はシェアオフィス事業で、国内外あわせて現在6拠点あります。
今、事業の中心になっているのはシェアオフィス事業です。100坪ほどのスペースをもつ大型シェアオフィスとして、NAGAYAというブランド名で南青山の他、川崎、大阪の本町、シンガポールに、日本橋にはブランド名が異なるのですがシェアル日本橋、またnagaya8fというブランド名でこの武蔵小山にもシェアオフィスがあります。
当社の特徴としていえるのは、多世代×多業種が集まるシェアオフィスだということです。年代的にみると、ボリュームゾーンとしては30代~40代が多いのですが、下は25歳から上は70代の方まで、幅広い世代の方がいらっしゃいます。
また業種でみても、例えばIT関連とかデザイナーといったある特定の業種、職種にセグメントするのではなく、多業種の方々に幅広く利用していただいています。そういった幅広い世代や業種・職種の人達が集まることで、普段のオフィスでの何気ない会話の中から、気づきや発見が生まれやすいのではないかと考えています。
またこの武蔵小山のnagaya8fはコアメンバーになる人がいて、弊社(私)とベクトルを同じくする人達の自主運営型シェアオフィスとして、清掃や備品など自分たちで管理していただく分リーズナブルな価格でという、メリットを共有するけれどデメリットも共有するというというやり方で運営しています。
その他、昨年から渋谷でシェアキッチン事業をスタートさせました。飲食店を始めたい人がいきなり最初からお店を持つのは、保証金や厨房設備などで何百万円もかかり大変です。
そこで、たとえば1ヶ月期間限定のカフェとか、週1回だけ開く飲食店として、また店舗をもたないで活躍する料理人のスポット的な実店舗としてなど、いろいろな形で利用してもらうのがこのシェアキッチンです。また地方の小さな自治体や生産者さん達の商品を実際食べてもらう情報発信の場所としても使って頂いています。
あの東日本大震災で、起業に向けて“ギア”がはいりました。
もともとは飲食業界にいたのですが、その後に不動産関係の会社に移り、香港や台湾などの海外で12年ほど仕事をしていました。その頃から漠然とですが「いつかは独立したい、自分の会社を持ちたい」という思いはありました。ただ家族ができ子供ができたりして、何かと自分に言い訳してずっと会社員を続けていました。そんな時にあの東日本大震災があって・・・。その時に自分の気持ちにギアが入りました。ついさっきまで当たり前と思っていたこと、それは家族であったり、仕事であったりするものが突然すべて消えてしまう、奪われてしまうということにとてもショックを受けました。それまでは夢みたいにいつかは独立できたらとふわっと思っていましたが、そこでスイッチが一気にはいりました。当時建築関係の企画・設計会社の役員をしていて、これからの働き方、ワークスタイルとしてシェアオフィスのニーズが高まるだろうと考え、これを中核事業に独立をしようと思い、社長に相談をして仕事の整理をしたり起業準備をしたりして、震災から1年後の2012年3月に独立起業しました。
起業してから休みはほとんどありませんが、ストレスもありません。
起業してよかったと思うのは仕事に対してのストレスがなくなったことです。もちろん仕事をしていく上で上手くいかないことや気を使うことは多々ありますが、自分の裁量で絵を描き、それに基づいて行動し、出た結果に対して自分で責任を持てばいいだけのことですから。反面大変なのは、仕事量が増えほとんど休みがないことですね。独立して以来、一年通じてほんの2、3日しか休めずにやってきました。ただ先ほども言ったようにそれに対する身体的・精神的なストレスはなく、自分で休もうと思えば調整して休めるわけですし、今は短時間休めばわりとすぐ回復します。
“ずっと働きたい”その思いを具現化するのが起業でした。
定年という枠なしに“ずっと働きたい”という風に思っていました。そしてその思いを具現化するのが、私にとっては起業でした。また長く働いていくためには、自分のためになるなりわい、人のためになるなりわいを作っていかないと長くは続かないだろうと思います。それと私は実家が京都なのですが、一人っ子ということもあり、いずれは親元近くの京都へ戻ろうと考えています。京都にいながら東京や各地でビジネスをする、そのすべを作るのも起業でした。
将来的には京都で滞在型施設をやりたいと思っています。たとえば朝ごはんだけ提供してその分リーズナブルな価格にし、昼や夜は京都の街を存分に楽しんでもらうという、1週間ゆっくり滞在してもらえる”ホステル”のような宿を考えています。“ホステル”はだいぶんと日本でも増えてきつつありますが、カフェスペースを併設することで情報の提供をしたりお客さん同士も情報共有したりするようなコミュニケーションの場を想定しています。みんなの声や情報をシェアし蓄積しまたアプトプットしていくことでその場自体がメディア力を持つでしょうし、ありそうでなかった滞在施設になると思います。これもひとつの“シェア”の形で、シェアオフィス事業、シェアキッチン事業と同じように、シェアという考え方や仕組みを使って場を提供していくということの延長線上にあります。
AND THE KITCHEN(シェアキッチン)
あとに続く後輩に応援メッセ―ジをお願いします。
「人とのつながりを大事にして常に発信すること」が大切だと思います。ひとりで抱え込んだりしないでどんどんアウトプットすることです。自分のこと、自分のしている仕事のことなど周りにアウトプットして自分を知ってもらうことがつながりになり、仕事のきっかけになったりすると思います。私がシンガポールのシェアオフィスを出すことになったのも、会社を設立した当初からいつかはASEANでも展開したいとアウトプットしていたら、かつての同僚がそれを覚えていて、ある人を紹介してくれたのがきっかけでした。
今うちのシェアオフィスで月1回ほど交流会を開催していて、その場で必ず最初に皆さんに言うのですが、できるだけアウトプットして自分のことを知ってもらってくださいと。
周りの人に自分のことを認知してもらうことで、それがいつか仕事につながっていくのだと思います。もちろんそれを期待してするということではないのですが、人とのつながりはとても大切だと思います。
インタビューを終えて
センターからわずか徒歩2分くらいのところに、シェアオフィスnagaya8fはあります。広瀬さんのシェアオフィスはどこも見晴しがよく、とても明るくて開放的な印象があります。個室にこもってあまり閉鎖的にならないようオープンな雰囲気でまさに「シェア」する環境なのだと思いました。ネット全盛時代ではありますが、人が集まるところに会話が生まれ、情報が集まり、仕事に繋がっていくという広瀬さんの考えには私も同感です。
nagaya8fはまだ少し空席があるとのことです。
ご興味のある方はぜひお問い合わせしてみてください。
(インタビューア:滝)