VOL.25

 インターネットの良さを伝えたいというビジョンを共有!

 株式会社教育ネット 代表取締役 大笹いづみさん

 ・事業所名:株式会社教育ネット
 ・創立年月日:2014年6月
 ・URL:https://edu-net.co.jp
 ・事業内容:情報モラル教育(ネットリテラシー教育)やプログラミング教育など

インターネットの可能性を感じ、社長に直談判!

 大学卒業後はシステムエンジニアのサラリーマンとして働いていました。丁度子供が生まれた後に、学校にインターネットが導入されていきました。子供がインターネットに触れるとなった時に、インターネットの可能性を感じ、かつ自分の経験や技術を生かせると思い、これを事業にしてみたいと考えていました。それまでは会社は、企業向けのシステム開発をしていましたが、ある時、社長に「学校教育をやりたいのです!」と直談判を仰ぎました。所属していた会社は中小企業だったので、社内ベンチャーのような制度はなかったのですが、社長からOKをもらうことができ、企業内起業をスタートしました。
 ところがその後、なんと会社の業績が悪化し倒産してしまいました。その時、起業も考えましたが、すぐ起業する勇気がなくまず転職しました。そこで3~4年働きましたが、自分がやりたいことができそうもなく、起業の決意をし、横浜の創業塾で起業の勉強をし、その後一般社団法人を立ち上げ起業しました。

 

一般社団法人から株式会社設立へ

 設立当初は以前の仕事で一緒だった人と3人で事業を始めました。企業内起業の時に、事業を立ち上げる難しさ、営業、経営、マーケティング、開発、企画を学ばせていただき、人脈もでき、業界も知ることができた経験が役に立ったと思います。
それでも、スタート時は本業だけでは厳しく、個人事業として営業委託などの他の仕事を掛け持ちしながら、本来やりたかった子供たちの情報モラル教育のビジネスを進めていきました。この頃にウーマンズビジネスグランプリに挑戦し、ファイナリストまで進出できました。懇親会では他の女性起業家と情報交換ができ、さらに起業のモチベーションも高まりました。
 そして2013年、国の創業補助金の公募がありそれがきっかけで、社団法人を残しつつ今の株式会社を設立しました。自分が営業して、情報モラル教育を自治体に売っていく仕事をやっていこうという決意の意味も込めていました。
最初のお客様開拓は飛び込み営業でした。今の人だとエッて思うかもしれませんが、元々会社員時代も教育業界で飛び込み営業はしてきたので、苦にはなりませんでした。さらに行く自治体も会社員時代に行ったことがあるところだったので抵抗はなかったです。  

 それでも1つ目の仕事を取る時は大変で、だいたい100件ぐらいは飛び込み営業したと思います。それくらいしないと見つからないですね。その中で、運よく情報モラルに危機感を持っている自治体担当者とお会いすることができ、前例がなかったにもかかわらず導入してもらい初めてのお客様を獲得しました。この時は、パンフレットも企画書もなかったので、早急に制作しました。その後も自治体という特性上、急激に仕事は増えなかったものの近隣の自治体から少しずつ増やしていきました。
 

続けることの大切さ

 会社員時代に、学校間でネット上に情報を共有する仕組みを構築したのですが、倒産とともにその仕組みをやめることになってしまい、先生や生徒からとても残念がられました。この時に撤退することは、お客様を裏切ることになるのだなということを痛感しました。当時も「子供たちにインターネットの良さを伝えたい」という思いはかわらなかったので、自分の会社で同じ事業を始めて、改めてその時の学校に行くと「また始めたのですね!」と喜んで迎えられました。またつながるというのはうれしいですね。会社を経営しているといろいろ失敗経験もあると思いますが、その失敗も自分の中でノウハウとして蓄積されています。その失敗の中から人とのつながりもできているので、それを生かせれば失敗も失敗ではないのだろうと思います。
 

小規模事業から組織へ

 株式会社を設立後、4期目ぐらいまでは10%から30%の伸びがあり、5期目ぐらいから急激に売上が伸びました。設立当初は2.5人ぐらいで始めましたが、現在はパートを含めて25人、外部インストラクターは50人という規模になりました。小さな組織の時には自分の仲間内だけでしたが、人を雇うとその人の人生にも関わってくるので、気持ちのプレッシャーはありました。
 また急成長した時の資金繰りには苦労しました。この頃は行政関係の大きな仕事が入ってきましたが、仕事がすべて終わってからの入金だったので、やりくりは大変でした。その時は融資や補助金を活用しましたが、社長である私だけで動くのではなく、従業員みんなで経費削減策を考えました。さらに会社の実情をみんなに伝え、目標設定にパートさんも含めてみんなで乗り切りました。従業員は増えましたが、弊社は部長も課長もなく、フラットな風通しの良い企業文化を持っていると思います。
 あと創業当時からパートナーとして、中小企業診断士がついていてくれたことも大きかったです。ある程度規模が大きくなったら、財務面を見てくれるパートナーがいると良いと思います。他にも、いろんな方々を巻き込んで力になってもらいました。社長一人で何でもかんでもはできないので、従業員やパートナーの力は大切です。ひとりでビジネスをする楽しさもあるかもしれないけど、仲間がいればみんなで成功を喜びあえるのはチームで仕事をする良さですね。メンバーがいるのは財産だし、作ってよかったなと思います。
 弊社は、ティール組織(目的達成のため、メンバー全員が自己決定で行動していく自律的組織)を目指し、みんなが主体的に動ける組織をつくっていこうと思っています。取り組みとして月次決算をみんなが見れるようにしています。もし社長の私がいなくても、事業が進んでいけばと思っています。
 またビジョンに共感して集まってくれる人が大切だと思います。こちらからビジョンや情熱を伝えて、そこに共感してくれ一緒にやりたいと思ってもらえる人をチームの仲間にしています。ビジョンに共感してくれる人が集まると、みんな自分が何をすべきかを理解して自発的に動いでくれるので結果、厳しいマネジメントをしなくて済み、気持ち的にも楽になります。

 

子供たちにインターネットの良さを伝えたい

 2020年度はコロナ禍により学校教育も大きな転換期になり、小学校1年から高校3年まで、1人1台タブレットが配られるようです。昔だったら考えられないですね。今の教育は、決まったものを教えられアウトプットで知識量を計るものになっていますが、インターネットを本格的に教育の中に取り入れられると、教室にいながらにして世界の著名人や専門家とつながる可能性を秘めています。
 「子供たちにインターネットの良さを伝えたい」という企業内起業の直観は今でも生きています。今は誹謗中傷や炎上といったインターネットの悪い部分だけを取り上げられることも多いですが、私たちはインターネットを通じて、小学校のころから世界を見せてあげられる教育環境を提供していきたいと考えています。

 

 

インタビューを終えて

 組織化した企業づくりには、改めて「ビジョン」が大切であることを感じました。「ビジョン」と「経営目標」は混同されやすいですが、「経営目標」は内部環境や外部環境にあわせて変えていくもの、「ビジョン」は企業のアイデンティティーとして不変的なものといえます。教育ネットの「子供たちにインターネットの良さを伝えたい」というビジョンは起業前から根付いており、それに共感した人たちによって成り立っています。
 中小企業庁が発行している2019年版中小企業白書でも、中小企業の人手不足がテーマとなっており、働き方改革、高齢者活用、設備投資、IT化といった方法論が対策としてあげられていますが、教育ネットの「ビジョンに共感した人に来てもらう」という採用の基本に立ち返ることも、これからの中小企業に必要ではないかと感じました。


(インタビュアー 西條)

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