VOL.22

「泣いて過ごしても一生、笑って過ごしても一生」

Tamatebakohandmade 勝間珠美さん

・事業所名:Tamatebakohandmade
・創立年月日:2016年9月
・URL:https://tamatebako.online/
・事業内容:帯地である西陣織の帯を使用して、バッグ・小物・洋服などをデザインし製作販売

私の原点

 幼少期から、母が良く洋服を作ってくれていました。その端切れでリカちゃん人形のお洋服を作りたいと制作をしていました。当時、ひらひらドレスのお洋服は売っていても「パンツスタイル」ってなかなかなくて、、、最初平面で縫い合わせてもお人形の足にはフィットせず履かせられない。父のスーツのズボンを持ってきてどういう風になっているんだ?と研究をし、紙に形を書いてそれをもとに布を切って、縫い合わせていくそんなことを子供のころから楽しんでいました。

 中高では被服科がある学校に通い、その授業の一つにサンドレスを作る家庭科の授業がありました。先生が提供していた型紙で作るように言われたけれど、ちっとも素敵じゃない。そう思って自分で1から考えて型紙を起こし、自分が着たいと思う一着を作りました。周りの友人には「素敵!」といってもらえる自信の一着ができたのですが、先生からの評価は低かった。

 なぜ?と思ったけれど、その時、はじめて自分で型を作って一からデザインする面白みを見出し、「デザイナーになろう」と決意しました。

 その後、都内大学で西洋服飾史、繊維学、構成学、和裁、意匠学の研究をする傍ら、イベント衣装などのデザインや製作に携わりました。学生生活は、繊維の勉強をしたり、京都まで出向いて西陣の織元に行ったり、フランスの衣裳展が来日すれば勉強に行ったりと様々な経験を積みました。

 大学卒業後はウエディングドレス製作会社に勤務し、念願の夢が叶い、デザイナーやパタンナーを経験しました。その後、独立してドレスやステージ衣装の製作事業を経営し、ウエディングドレスや芸能人の衣装、ドラマやCMなどの衣装を製作しました。

 その後、結婚・子育てのために一線から退く期間が長くありました。二人の愛娘と向き合う日々も愛おしい時間で、「子供をちゃんと育てたい」という気持ちもありました。その傍ら、心の中には「いつか子供の手が離れたら、自分で何かを生み出していきたい」という漠然とした思いがありました。

 

たまてばこ流「さりげない和を身にまとう」

 そんなある時、実家の母から祖母の着物や帯がたくさんあるのだけど処分に困っていると話を聞き、「大好きだったお祖母ちゃんの着物を何か形にして残したい」と強く想い、着物や帯を使用してバッグと帽子を作り、それをもって外出するようになりました。 そうすると、周りの方から「素敵ね!」「どこで手に入るの?」「うちの帯でも作れるの?」と声をかけることが非常に多く、もしかしてこれがビジネスになるのかも?と思うようになりました。

 当時から着物のリメイクでお洋服を作るという流れは世の中にありましたが、「さりげなく和をもつ」そんなスタイルが周りの方に評価され、製作の依頼を頂くようになりました。思い出の着物や帯を活用させたいと思う方が多くいらっしゃることを知り、お役に立ちたいとの思いから、2016年に『たまてばこhandmade』を開業いたしました。

起業家としての原点

 当初は知り合いからの依頼がほとんどで、家族からも趣味の延長線上と思われていたと思います。そんな私が変わった大きなきっかけは「武蔵小山創業支援センター」との出会いでした。このまま知人からの受注でおわるのではなく、「これからどう売っていったらよいか?どのように発信していったらいいのか?」悩んだときに家のすぐ近くに“創業支援センター”があったのを思い出し、「すみません~」と門をたたいたのがきっかけでした。ちょうど、数日後に女性のための起業スクールの募集締め切りが迫っているタイミングで、運命だったのかもしれません。

 「私の起業は、ムサコから」といっても過言ではないと思っています。根本から起業とは何かを教えていただきました。実は、当時、通う前も始まってからもスパルタで、宿題も大変そうだし、受講を躊躇した時もありました。でも元来の負けず嫌いな性格と、新しいことを学び知る喜びから辞めなかった。無茶苦茶、大変で苦しい3か月間でしたが、あの時があって本当に良かったと思っています。

 実は当時、パソコンが全く使えず「宿題をメールに添付して送る」ということもままならなかったのです。家が近所なので、宿題提出日の朝10時にセンターに来て、最初は手渡しで印刷したものを提出していました。ある時、事務局の藤井さんから「勝間さん、パソコン持ってきてください、添付の仕方教えます!」といわれ、パソコンを持ち込んで宿題のダウンロードの仕方、メールへの添付の仕方を学びました。今ではいい思い出です。

 そんな私が今では、SNSを使って世界へ発信し、HPの日々のメンテナンスも自分で行えるようになったのだから人間いくつになっても成長できるものです!  ムサコでの学びでは、特に「起業家として資金繰り、先の計画を考えるようになった」これが大きな収穫だったと思います。モノづくりをされる方、好きなことを趣味の延長でされている方は、ムサコで一から起業や経営のことを学ばれるのをお勧めします!自分自身をブラッシュアップしていくことで、霧が晴れ、先が見えてきます。


 

起業家としての覚悟

 ムサコ卒業後は、ウーマンズビジネスグランプリのセミファイナリストとしてプレゼンテーションを行い、羽ばたけアントレーヌという2日間のテストマーケティングイベントや商店街でのトライアルマーケットに出展しました。アントレーヌでは、出展後にたくさんの方からアンケートをいただき「素敵でした!」「是非頑張ってほしい!」などお褒めの言葉をたくさんいただき、大きな励みとなりました。そして、2018年の6月から武蔵小山創業支援センター1階のチャレンジショップで自分のショップをオープンいたしました。

 ショップを持ったことで私自身、覚悟が変わったと思います。そして、周りも変わりました。特に娘が、事業に対して協力してくれるようになりました。商品撮影のモデルを引き受けてくれ、マーケティングを大学で学んでいた知識を生かしてインスタグラムなどで発信することに力を入れてくれています。

 また自分自身でも、常に新しい情報にアンテナを張り、ネットや直接電話して調べてとことんやっています。SNSやキャッシュレス決済には詳しくなりました。

「泣いて過ごしても一生、笑って過ごしても一生」大好きな言葉です。 起業してきた中で、大変な時もありました。でも、立ち止まらなければ先が見えてくる。今後は、都内を中心にいろいろな場所に出て出店し、たくさんの方に「たまてばこhandmade」 を知っていただきたいと思っています。また、「和のつながりコミュニティ」を形成するのが私の夢です。日本のお稽古事や着物の着付けをもっと気軽に、そんな気持ちが合う方とコラボレーションしていきたいと思っております。また3年後には世界へ!パリで展示会を。と考えております。夢が広がります。

 

インタビューを終えて

 武蔵小山創業支援センターの1階出店中から、勝間さんの商品には多くの女性起業家がファンになり、勝間さんの生み出される商品に魅了され身にまとっていました。(私もファンの一人です。)tamatebakoの商品は、身に着ける人とその周りの方に明るく前向きな気持ちにさせ、そして和を身につけることでどこか気を引き締めて、物事に挑む時にチャレンジをする精神を持たせてくれると勝負アクセサリーとして話題になっています。古き良き部分と、斬新的で新しい部分を兼ねそろえたtamatebakoの商品は、これからも新しい時代に受け入れられるアイテムであり続けるのではないでしょうか。

(インタビュアー 藤井)
 

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