武蔵小山創業支援センターインキュベーションマネージャー
中小企業診断士 堀野 美奈子によるコラム!
『「ビジネスモデル・キャンバス」を用いて、新規ビジネスを考えよう!』
はじめに
皆さん、こんにちは。インキュベーションマネージャーの堀野美奈子です。
新規事業や経営改善を考えている時、検討しなければならないことが多すぎて「うまく整理するにはどうすればいいの?」と悩まれている方、いらっしゃると思います。そんな方にオススメなのが、ビジネスモデルキャンバス(以下、BMC)です。
BMCは、世界中でベストセラーになったアレックス・オスターワルダーとイヴ・ピニュールの著書『Business Model Generation(日本語版:ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書,小山 龍介訳,翔泳社,2012年)』のなかで紹介され、国内では、一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会(※1)がその普及に努め、実践者を増やしています。
※1:http://www.bmia.or.jp/
新規事業や経営改善を考えている時、検討しなければならないことが多すぎて「うまく整理するにはどうすればいいの?」と悩まれている方、いらっしゃると思います。そんな方にオススメなのが、ビジネスモデルキャンバス(以下、BMC)です。
BMCは、世界中でベストセラーになったアレックス・オスターワルダーとイヴ・ピニュールの著書『Business Model Generation(日本語版:ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書,小山 龍介訳,翔泳社,2012年)』のなかで紹介され、国内では、一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会(※1)がその普及に努め、実践者を増やしています。
※1:http://www.bmia.or.jp/
BMCとは・・・
BMCは、1枚のシート上の9つの「マス」に、ビジネスに必要な基本要素を書き込んでいきます。
シートの中心にくる「マス」が、「お客様に何を提供するのか?」をあらわす「価値提案」です。シートの右側はお客様(顧客)に関する事項です。誰に対し(顧客セグメント)、何を使って(チャネル)、どういう関係で(顧客との関係)、どれだけ儲けるか(収益の流れ)の4要素を考えます。シートの左側は自社(企業側)に関する事項です。誰と(パートナー)、何を使って(リソース)、どんな活動をして(主要活動) 、どれだけ費用をかけるか(コスト構造)、の4要素を置きます。
BMCは、上記9つの各要素間の関連性が一目でわかる作りになっているので、ビジネスを考える際の抜け漏れを抑えることができます。また、ビジネスを見直す際に検討すべき要素が明確であり、既存ビジネスに追加・修正を加えた際の前後の変化の比較が容易であるといった利点があります。
各要素の具体的な内容は以下となります。
(1) 価値提供(VP:Value Propositions)は、ビジネスの根幹であり顧客がそのサービスを選択する理由となるコト・モノです。最も重要な要素で、最も時間をかけて考えます。
(2)顧客セグメント(CS、Customer Segment)は、ターゲット、想定顧客です。具体的な人物像(ペルソナ)を思い浮かべ、なるべく詳細に記述します。
(3)チャネル(CH、Channels)は、いわゆる販路です。店舗販売、通信販売、展示会等、顧客にサービスを届けるための経路を列挙します。
(4)顧客との関係(CR、Customer Relationship)は、顧客とどのような関係構築を図るか、期間、深さなどを表現します。
(5)収益の流れ(R$、Revenue Streams)は、顧客からの売上を示します。売上の頻度や、他社との相対的価格差なども記載します。
(6)パートナー(KP、Key Partners)は、販売代理店や協業企業など、自社にない経営資源を提供する協業パートナーを記載します。
(7)リソース(KR、Key Resources)は、店舗、物流、IT、特許、ブランドなど、サービスを提供するのに必要な経営資源を記載します。
(8)主要活動(KA、Key Activities)は、仕入れ、製造、販売、研究開発など、サービスを提供するのに必要な活動を記載します。
(9)コスト構造(C$、Cost Structure)は、サービスを提供するのに必要なコストを記載します。
シートの中心にくる「マス」が、「お客様に何を提供するのか?」をあらわす「価値提案」です。シートの右側はお客様(顧客)に関する事項です。誰に対し(顧客セグメント)、何を使って(チャネル)、どういう関係で(顧客との関係)、どれだけ儲けるか(収益の流れ)の4要素を考えます。シートの左側は自社(企業側)に関する事項です。誰と(パートナー)、何を使って(リソース)、どんな活動をして(主要活動) 、どれだけ費用をかけるか(コスト構造)、の4要素を置きます。
BMCは、上記9つの各要素間の関連性が一目でわかる作りになっているので、ビジネスを考える際の抜け漏れを抑えることができます。また、ビジネスを見直す際に検討すべき要素が明確であり、既存ビジネスに追加・修正を加えた際の前後の変化の比較が容易であるといった利点があります。
各要素の具体的な内容は以下となります。
(1) 価値提供(VP:Value Propositions)は、ビジネスの根幹であり顧客がそのサービスを選択する理由となるコト・モノです。最も重要な要素で、最も時間をかけて考えます。
(2)顧客セグメント(CS、Customer Segment)は、ターゲット、想定顧客です。具体的な人物像(ペルソナ)を思い浮かべ、なるべく詳細に記述します。
(3)チャネル(CH、Channels)は、いわゆる販路です。店舗販売、通信販売、展示会等、顧客にサービスを届けるための経路を列挙します。
(4)顧客との関係(CR、Customer Relationship)は、顧客とどのような関係構築を図るか、期間、深さなどを表現します。
(5)収益の流れ(R$、Revenue Streams)は、顧客からの売上を示します。売上の頻度や、他社との相対的価格差なども記載します。
(6)パートナー(KP、Key Partners)は、販売代理店や協業企業など、自社にない経営資源を提供する協業パートナーを記載します。
(7)リソース(KR、Key Resources)は、店舗、物流、IT、特許、ブランドなど、サービスを提供するのに必要な経営資源を記載します。
(8)主要活動(KA、Key Activities)は、仕入れ、製造、販売、研究開発など、サービスを提供するのに必要な活動を記載します。
(9)コスト構造(C$、Cost Structure)は、サービスを提供するのに必要なコストを記載します。
実際にBMCを書いてみよう!
とある花屋Aを例にとって、ビジネスモデル・キャンバス(BMC)を実際に書いてみましょう。
花屋Aは住宅街の駅前に店舗を借りて営業をはじめました。あらゆる来店客の要望に応えられるよう、商品であるお花は、問屋がすすめるオーソドックスな売れ筋のものをひととおり揃えています。開店して半年、お祝い事の花束需要などはあるもののあまり売れず、今後に不安を抱えています。
この花屋Aの現在の状況をBMCに描くと以下のようになります。
花屋Aは住宅街の駅前に店舗を借りて営業をはじめました。あらゆる来店客の要望に応えられるよう、商品であるお花は、問屋がすすめるオーソドックスな売れ筋のものをひととおり揃えています。開店して半年、お祝い事の花束需要などはあるもののあまり売れず、今後に不安を抱えています。
この花屋Aの現在の状況をBMCに描くと以下のようになります。
どう経営改善していくか=どうBMCを修正していくか
さて、売上不振に悩むこの花屋Aのビジネスをどう改善していけばよいでしょうか。BMCの各ブロックの関連をみながら、新たな価値提案VPについて考えていきます。考える順番は状況により様々ですが、まずVP:価値提案やCS:顧客セグメントの見直しから考えてみるのがオススメです。
たとえば、店舗周辺の住民に若手ファミリー層が多いことから、ターゲットを20~40代のファミリー層に絞り、その層に気軽に手にとってもらえることを想定した新たな商品を構想するのはどうでしょうか。CS:顧客セグメントに「20~40代ファミリー層」と書き込み、その層に訴求するV:価値提案を考えます。例えば、20~40代の家庭の食卓や居間を日常的に彩る「テーブルフラワー」を新たな付加価値と考えたとき、それを実行に移すためのKA:主要活動KAやKR:リソースとして何が必要でしょうか。また、C$:コスト構造やR$:収益の流れには、どのような変化があらわれるでしょうか。こうした事を考えながらBMCを埋めていきます。
※検討した内容をオレンジ色の要素で示す
他のビジネスアイデアはあるでしょうか。
例えば… CS:顧客セグメントに、周辺のイタリアンレストランなどの店舗を想定し、そこにテーブルフラワーを卸すビジネスモデルも考えられますね。その場合は、もう1枚別のBMCを用意し、新しいビジネスモデルに応じた新たなVP:価値提案を構想し、他のブロックに波及する影響をひとつひとつ書き加えながら、生み出されるR$:収益について考えてみます。
このように、BMCは一度書いて終わりではなく、様々なビジネスの構想ごとにBMCを何パターンも書き出し、最適なビジネスモデルを探っていきます。
自社だけでなく、ライバル企業のBMCを書いてみるのも競合分析の一手法としてたいへん有効です。同じ事をやっていると思っていても、9つの要素が全く同じということはおそらくないはずですし、真似する要素、差別化する要素を考えるのにとても役立ちます。
刻々と変化するビジネス環境を泳ぎ切るために、ビジネスを俯瞰的に把握できるBMCを是非利用してみてください。