VOL.30

 保育園に入れなかったことがきっかけで起業!

 ラエステレン 岑山萌子さん

 ・事業所名:ラエステレン
 ・創立年月日:2020年1月
 ・URL:https://www.laersterenn.com/
 ・事業内容:バッグの企画製造販売

「締め切り迫る!」の言葉に惹かれ…

 起業する前は、約8年、企業でバッグの企画デザインを中心に海外営業や代理店とのやり取りなどの仕事をしていました。6年前に結婚し、その後出産、そして 育児休業を取っていました。職場に復帰するため保育園を探していましたが、結局子供が入園できる保育園が見つからずに将来のことを悩んでいました。
 その時にたまたま、当時していた武蔵小山創業支援センターのメールマガジンから「女性のための起業スクールMU★SAKO」の案内を見つけました。それまでメールマガジン登録はしていたものの、セミナーにもイベントにも参加したことはなかったのですが、「締め切り迫る!」という言葉を見て、思い切って申し込んでしまいました(笑)。それに、託児サービスがあったことも決め手になりました。
 起業については、将来は自分のブランドを立ち上げられればいいな、という夢はあったものの、その時にはまだ具体的には考えてなく、MU★SAKOは将来のための軽い勉強という位置づけでした。しかし、思いのほか勉強することが多くて大変でしたが、自分がやりたかったことやスキルの棚卸しをするきっかけになりました。
 そしてその後は、あれよあれよいう間に、2020年1月に勢いで開業届を出していました(笑)。この時はまだ企業に在籍していたので、前年の年末に会社に相談にいったところ、副業として認めてくれることになりました。

 

ウーマンズビジネスグランプリに挑戦、そして入賞へ

 私が仕事をしていたファッション業界は、石油産業に続くワースト2位の汚染産業とも言われ、化学物質の流出、低賃金や劣悪な労働環境、破棄された商品の焼却から出るCO2排出などの問題を抱えています。こういった社会問題に加担しない事業を構築したいと思い、サスティナブルなバッグや小物を展開することにしました。
 起業後の最
初の活動は、テストマーケティングイベント「羽ばたけ!アントレーヌ」でした。しかし、この時は起業直後で商開発が間に合わず、エコラップのワークショップで出店しました。それでも起業のトライアルという点では良い経験になりました。
 次が「ウー
マンズビジネスグランプリ」への挑戦でした。起業したいという気持ちはありましたが、ビジネスプランコンテストに出るということは考えてもいませんでした。それでも、これも勉強だと思い、何とかプレゼン資料を作り上げ、自身がやりたいことを伝えたことで、ファイナリストに進出。さらに「特別賞」と「よい仕事おこし賞」の2つの賞をいただくことができました。
ぼんやりとした
アイディアから、実際にしっかりとしたコンセプトのある事業を組み立てられるよう武蔵小山創業支援センターの起業スクールで多くのアドバイスをいただきました。伝わりやすいプレゼンを作り上げる為の資料の作り方や話し方も学び、同じスクールの起業仲間にも意見をもらい、ブラッシュアップしていきました。
 当日は賞を取ることよりも、自分の思いを素直な言葉で伝えることを意識しました。それが伝わったのかもしれません。それま
でプレゼンには苦手意識があったのですが、行動していれば何とかなるということを実感できました。
 

事業化に向けて

 2020年7月に会社を退職し、正式に起業をスタートすることになりました。まず販売していくためのオンラインショップ開設に着手しました。この時はホームページ業者ではなく、知り合いのWEBデザイナーからアドバイスをもらいつつ、自分自身で勉強しながら制作していきました。併行して商品をそろえていきましたが、新型コロナの影響もあって、予定より3ヶ月遅れの2020年6月に開設しました。
商品としては、パイナップルの葉から生まれたピニャテックスという素材を使用し、お財布やカードケースを販売しています。これからもヴィーガンやオーガニック素材を使った商品を展開していきます。
 事業を進めるにあたっては、武蔵小山創業支援センターのコワー
キングスペースを活用しました。センターのコワーキングスペースは子供とベビーカーの入室も可能で、他の入居者の方々も嫌な顔ひとつせず受け入れてくれました。やはり、ひとりで起業するには心細かったので、些細な起業の疑問もすぐに聞けたので助かりました。
振り返ると起業は毎日が勉強で、大変なことばかりでした。特
に子育てとの両立は一番苦労しました。それでも、今自分がやりたいことができていることは何物にも代えがたいと思います。会社員の時代も大きなプロジェクトを任されることがありましたが、それとはまた違ったやりがいがあります。子供が保育園に入れなかったことが、運命的なものだったかなと思います。
 何も知らないまま起業したので、先輩起業家に追いつくために、
今は売上を増やしていきたいですね。近い将来フランスに移住する計画もあるので、フランスと日本を行き来しながら事業を展開することが目標です。
 

インタビューを終えて

 子供が小さい時の起業のポイントは、やはりワークライフバランスでしょう。それまで会社員だった女性が起業したことで、それまで築いてきた生活様式が変わり家庭内の雰囲気が悪くなったということは少なからずあります。
あるママ起業家は、自分の事業に夢中になりすぎたことで、子供が母親を拒否し始めたということがありました。子供が小さいうちは、母親は絶対的に必要な存在であり、ビジネスで家を空けることが多い、家にいても常にパソコンとにらめっこ、ということが多くなると、子供の心は母親から離れてしまうらしく、先のママ起業家の事例では、子供との絆を取り戻すのに2年近くの歳月がかかったそうです。
 起業は家庭を犠牲にしてまで始めることではなく、ワークライフバランスを大切にすべきと考えます。起業を始める場合は、まず家族の理解を得ることから始めると良いでしょう。


 

(インタビュアー 西條)
 

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