VOL.36
化粧品業界の経験を活かしてフェムケア製品の開発・販売で起業
株式会社FESTEEM(フェスティーム) 齋藤早紀子さん
・事業所名:株式会社FESTEEM(フェスティーム)
・創立年月:2021年1月
・URL: https://festeem.info/ 製品サイト:https://eazycosme.store/
・事業内容:フェムケアブランド EAZY(イージー)の企画・開発・販売
メイク講座他女性のエンパワーメント事業
起業のきっかけ
化粧品業界の経験が長いこともあるからだと思いますが、40代に入った頃から友人からの婦人科系のトラブルに関する相談を受けることが多くなりました。また仕事を優先したために体調を崩した結果、不妊になってしまった友人がいたこと、さらに子宮脱を患った叔母の話を聞き、自身も含む婦人科系のトラブルに悩む人たちが多いと感じるようになりました。
友人の相談にのる中で化粧品業界に身をおいている自分自身も、実は正しいケアができていないということに気づき愕然としました。海外ではフェムケアは一般的になっているのに、日本では教育する機会もないため普及していない。また、既存のフェムケア製品で行うケアでは手間がかかり続かない。悩みを抱えながらも放置されている状態に正しいケア方法の啓発活動と簡便にケアできる製品が必要であると思ったのが今の事業を始めたきっかけです。。
武蔵小山創業支援センターとの出会い
こういった必要性を感じつつもその時は起業しようとはあまり考えていませんでした。起業を意識し始めたのは、たまたま電車内の広告で見かけた「400文字から世界を変えるスタートアップコンテスト」です。このコンテストに軽い気持ちで応募したところ、何段階か選考が進んだのです。選考が進んでゆく中でコンテストに応募者と一緒にディスカッション等をする機会があり、とても楽しく刺激になる体験をすることができました。
残念ながらコンテストの最終選考には残らなかったのですが、そのくらいから徐々に起業を意識し始めました。
そこで、自分自身のアイデアを実現するために事業計画書の作成方法を学びたいと思い、インターネットで検索、武蔵小山創業支援センターの起業スクールMU★SAKOにたどり着きました。
MU★SAKOでは、自分で作成した事業計画書に対し、インキュベーションマネージャーからのアドバイスが得られます。アドバイスを受けたことで自分の事業計画書において足りない視点が明確になりました。また、事業化するための様々なアイデアがいただけたことやビジネスプランを人前で発表する経験ができたこともその後の起業や事業活動にあたってよい経験となりました。
なにより、起業を目指す同期は、安心して自分のアイデアや意見を述べることができる貴重な存在でした。
フェムケア商品の企画・開発・販売で起業!
MU★SAKOを修了後に、別のアクセラレーションプログラムにも参加したのですが、そこでは男性の起業家の方が多くテック系でIPOを目指す方などビジネスにも偏りがありました。実はMU★SAKOで作成した事業計画もテック系だったのですが、計画書検討するうちに、事業化が難しいという結論にたどりつきました。
そこで、改めて自分自身が本当にやりたいことを考えなおした結果、婦人科系トラブルに悩む人達に役立つモノやサービスといった当初の想いに立ち返ることができ、フェムケア製品の企画・開発・発売をはじめとする女性のエンパワーメント事業を開始しました。
現在販売している、EAZY(イージー)はデリケートゾーンケア、ボディソープ、洗顔料、ハンドソープがこれ1本で代用可能です。時間をかけずにフェムケアができるという特徴から、忙しい女性にピッタリの商品です。
トライアルマーケットをきっかけに女性のエンパワーメント事業も開始
EAZY発売後にセンターで開催した「MU★SAKOトライアルマーケット」でもフェムケアセミナーを行う機会があり、参加者に正しいフェムケア方法をお知らせすることができました。
現在は女性のエンパワーメント事業としてフェムケアセミナーや、メイク講座なども定期的に開催しています。
事業開始と同時期にセンター6階のコワーキングルームにも入居し、そこで知り合ったコワーク仲間と一緒にコラボレーションセミナーも企画、開催しています。コワークに入居していなければ、こういった出会いもなかったと思います。
今後に向けて
フェムテック市場が注目されて数年たちますが、事業活動を通じて日本においては正しいフェムケア啓発が十分ではないと感じます。
また、フェムテックという新しい市場に乗っかる企業も多いので、そういった企業とは一線を画し「美容と健康で女性の自己肯定感をあげ、社会的地位の向上」というミッションを貫いてゆく予定です。
弊社の会社名であるFESTEMは Female(女性)と Esteem(尊重する)の造語です。
製品だけでなく、女性のエンパワーメントの事業者として幅広く活動してゆきたいと考えています。
インタビューを終えて
会社員との兼業という時間的制約がある中、フェムケアの啓発活動に真摯にとりくんでいらっしゃる姿や取引先開拓に向けてアグレッシブに営業活動をされている様子にいつも感服いたします。兼業であってもここまで活動できるんだという兼業での起業を目指す方の見本といえるでしょう。
また、FESTEEMのミッションである「美容と健康で女性の自己肯定感をあげ、社会的地位の向上」には同じ女性として深く共感するところです。モノやサービスがあふれるなかのマーケティング活動においては、顧客に共感してもらい商品やサービスの購入につなげる共感マーケティングが重要です。啓発活動は地道な努力の積み重ねですが、こういった活動を継続することでフェムケアの認知と齋藤様のビジネスに対する共感の輪の広がりにつながるでしょう。
(インタビュアー 江崎)