武蔵小山創業支援センターセンター長 藤井あい子による
子育てしながら起業をしたい女性のためのヒント 後編 
~ワークライフバランスをとって起業するために必要な条件や注意点~


 

はじめに

 MUSAKO HOUSEが発信する「起業家のためになるコラム」第3回目の今回は、6月に引き続きMUSAKO HOUSEセンター長の藤井が担当いたします!
 
 女性の起業支援に従事してから約7年、年間200名以上の起業を志す女性の方に出会ってまいりました。私自身も子供を3人(11歳、9歳、5歳)育てながら仕事をするキャリアウーマンでもあります。

今回、そんな藤井の視点から「子育てしながら起業をしたい女性のためのヒント」の後編をお届けいたします!
 
 前半では「ママだからこそできる起業人生を!メリットデメリット比較」をお伝えしましたが、後編では「ワークライフバランスをとって起業するために必要な条件や注意点」をお伝えしていきます。また、実際に子育て中に起業された女性起業家の事例をご紹介いたします!


前回の記事はこちらから・・・
「子育てしながら起業をしたい女性のためのヒント 前編~ママだからこそできる起業人生を!メリットデメリット比較~」


子育て中でも活躍したい女性のためのワークライフバランスのとり方

 日頃から起業支援を行う中で、様々な状況の起業を志す方とお会いする機会があります。「妊娠・出産」「子育て」「子供の受験」「離婚」「親の介護」「家族の看病」「産休・育休」「パートナーの転勤」など、人生のフェーズに立つなかで、『やりたいことで収入を得て 生きていける人生を歩みたい』と決意され、起業を志されています。

 女性が様々なライフイベントがある中で、仕事にかける時間を自らの意思でコントロールすることが可能な『起業やフリーランス』というスタイルは、生き方の“1つの選択肢”としてお勧めします。しかし、『やりたいことで収入を得て 生きていける人生』 を実現することは、誰もが簡単にできることではありません。スキルや経験もさることながら、やり遂げる覚悟と謙虚さ、柔軟さが必要だと私は思います。

 そして、特に子育て中の女性が起業し、収入を得ていく中で、ワークライフバランスをとって事業を進めることがとても重要だと思います。創業当初は、“世の中に求められる事を提供すること”に比重を置き、「声をかけていただいたことは基本的に断らないようにしている」というようなスタンスの女性起業家も多く、結果的に自らを苦しめ、「収入はあまり増えないのにやることが多くて、とにかく忙しい日々を送っています、、、」なんていう声もよく聞かれます。


 起業を選んだことで家族との時間が持てなくなった・・・なんてことがあっては本末転倒です。

 
 そのようにならないためにも、起業する前に、どのようなワーク&ライフスタイルを理想とするのか、一度立ち止まって整理されることをお勧めします。次の章では、子育て中に起業をしてみたいと思われている方に参考にしていただきたい「子育てしながら起業するために必要な条件や注意点」についてお伝えしてきます。



 

子育てしながら起業するために必要な条件や注意点


 
その1:家族年表を作って“起業人生”を描いてみる
 子育てが始まると、独身や夫婦だけだった時と比べ、時間管理が思うようにいかなくなります。特に子供が活発に動くようになり、離乳食が始まりご飯を食べるようになると、一日中、子供との時間に追われ やりたかった事に手が付けられず、夜も子供と共に寝落ちしてしまったなんてことは子育て中、一度は経験されることと思います。また子供の数によって、一人っ子であるのか複数のお子さんがいらっしゃるのかでも、状況は異なります。「今は一人っ子だけれども、何れは兄弟が欲しいな」と思われている方もいらっしゃるでしょう。子育て中に起業を考えている方は、ぜひ一度、家族年表を書くことをお勧めします。

 自分の年齢、子供の年齢や学年、パートナーの年齢などを書き出し、この先、10~20年先を見越してまとめるとよいでしょう。それぞれのタイミングでどの様な働き方をしていたいのか、どれくらいの収入を理想とするか?などを整理してみてください。 
 
 介護と違い“子育ては終わりがある仕事だ”とよく言われます。徐々に子供の手が離れていく時、そしていつか卒業する時が必ずきます。その未来に向けて「起業」という軸の中で 今、どういう行動をとるのか、まずは考えてみましょう。
 

その2:家族や周りの人へのプレゼンテーション、理解・協力が不可欠
 起業を考えるうえでは、パートナーやご家族からの「起業への理解」を得ること、そして応援してもらえることがとても重要です。
 
 起業をすると、会社員とは違い自分の代わりがいません。従業員を雇えるようになれば状況は異なるかもしれませんが、特に創業当初は自分が動かなければ事業が回らないという状況が想定されます。「納期が明日に迫っているのに時間が取れず間に合わないかもしれない、、、」「大切なお客様とのアポイントがある日に子供が体調不良で、、、」といったときに家族にサポートしてもらえる状況を作っておくとよいでしょう。

 創業当初は、知名度や信頼もあまりない中で、お客様との信頼関係を今後も長く築いていくために、『納期を守る』『約束を守る』など当たり前のことが、非常に重要なこととなります。家族の体調不良などで打ち合わせをリスケするなどは仕方のないことかもしれませんが、有事のライフラインをいくつか持っておくことで、安心して事業を進めることができます。
 
 パートナーや祖父母、近所に住む親戚、時にママ友など、万が一の時に子育てに手を差し伸べてくれる選択肢を複数持っておく。そのためにも周りに『自分がやりたいこと』をプレゼンテーションし、理解してもらい応援者を得ることが非常に重要です。
また、核家族が進む現代において身近に頼れる身内がいない場合は、病児保育やベビーシッターサービスをリサーチし、登録しておくことも必要かもしれません。

 
その3: 子供が安心して過ごせる場所の確保
 お子さんが未就学児であれば、保育施設への入園を検討されることをお勧めします。
お住いの行政によって、保育園の入園条件や空き状況は異なりますが、例えば品川区であれば「小規模保育事業」や「認証保育園(東京都が独自に定めた基準をクリアした保育施設)」であれば、比較的フルタイムの会社員でなくても入園しやすいといわれています。(※状況は年度や時期、エリアによって異なりますので必ずお住いの行政の所管課にお問い合わせください。)
また、「ベビーシッターサービス」などを利用することも検討に入れるとよいでしょう。行政によっては、ベビーシッターの補助サービスが充実していて、必要な時に利用できるよう登録をお勧めいたします。

 創業当初は、保育園に入れず、「子供のお昼寝時間などに創業準備を行おう!」と思っていても、日中思うように時間が取れず、結果、夜な夜な作業をせざるを得なくなる場合もあります。

 創業期が、“踏ん張る時期”であったとしても、「ママとして」「一人の女性として」心と体の健康のためにも、子供は保育施設で先生やお友達と安心して過ごしてもらえる環境を整え、業務にかけられる時間をしっかりと確保できるようにされることがワークライフバランスを保つ秘訣とも言えます。
 また、子供が小学生になったら起業しようと考えられている方は「学童保育」や「習い事」などでお子さんの居場所作りを考えられるとよいでしょう。私自身が子供の習い事を検討するとき、「長期休暇中でも柔軟に子供を受け入れてくれる場所であること」「習い事の先生が子供の様子をしっかりと見てくれること」「親と先生とで密にコミュニケーションをとって子供の状況をシェアできること」などを重要視しています。

 起業に限らず、仕事をしながら子育てをするうえで、子供が安心して過ごせる居場所を用意してあげることが、女性が働き続けていくうえでとても大切だと考えます。
 

 
その4:まずは保育サービス付きのセミナーや一時保育を利用してセミナーを受講してみる!
 
 武蔵小山創業支援センターが、毎年9月から開講している「女性のための起業スクールMU★SAKO」では、未就学児を対象として保育サービスを利用することができます(定員あり先着順)
子育て中の女性がセミナーを受講している隣の部屋で、プロの保育士がお子さんを見守ってくれます。お昼休みや休憩時間にはお迎えに行って一緒に食事をしたり、授乳をしている方もいらっしゃいます。保育園に預ける前に慣らし保育の気持ちで、保育つきのセミナーを探して受講されるのも一つの方法かもしれません。
 「女性のための起業スクールMU★SAKO」では、2カ月半(全10回)の講義の中で、事業計画書を作成していきます。プロのアドバイザーがついて個別相談も対応しますし、同じように起業を志す仲間ができるのも心強いです。やってみたいと思っている事業をカタチにするため、準備期間としてはぴったりなのではないでしょうか。
 また、行政が行っている一時保育サービスを利用して起業準備を行う方もいらっしゃいます。







 

子育て中に起業したロールモデルに出会う!

 武蔵小山創業支援センターなど起業家が集まるコミュニティには、様々なライフスタイルの女性起業家が集います。交流会に参加し、先輩の事業やライフスタイルを身近に触れ、ご自身が理想とする起業スタイルで事業を実現されている方との出会いも期待できるでしょう。
 武蔵小山創業支援センターでは、「起業ランチセミナー」「女性の起業 耳よりサロン」などで女性起業家の体験談をお聞きいただける機会を提供しています。
 また、起業家インタビューという記事も定期的に配信し、女性起業家の事例をご紹介しています。ここでは、過去に起業家インタビューで取り上げた先輩起業家のなかでも、「子育て中に事業を立ち上げた起業家」を何名かご紹介いたします。リンクページに事業の詳細が載っていますので是非とも、ご自身のロールモデルを見つけてみてください。
※各起業家さんのお名前をクリックして、インタビュー記事をご覧ください。
 
<起業家紹介>
ダブルエスワールド 大西澄江さん
事業内容:和ビンテージ商品の販売・レンタル


株式会社教育ネット 代表取締役 大笹いづみさん
事業内容:情報モラル教育(ネットリテラシー教育)やプログラミング教育など


一般社団法人金属アレルギー協会 鈴木久子さん
事業内容:金属アレルギーの認知度向上を目指した啓蒙活動、各種検定やマークの普及、イベント企画・運営など


HOLUDONA株式会社 代表取締役 和田美香さん
事業内容:レインコートを収納するポーチなど子供向けアイディア商品等の製造販売


ラエステレン 岑山萌子さん
事業内容:バッグの企画製造販売


GLAN 村橋りえさん
事業内容:片づけコンサルタント、研修講師


マラマ合同会社 荒井ゆいさん 
事業内容:薬膳商品の企画販売、マルシェ向けサービスの提供及び運営

まとめ

 これまで、2回に分けて「子育てしながら起業をしたい女性のためのヒント」をお届けしてきました。当センターには、ベビーカーに赤ちゃんを乗せて起業のご相談に来られる方、産休や育休中にご相談に来られる方が数多くいらっしゃいます。

 子育て中にも関わらず、アグレッシブにご自身の人生を振り返り、起業を志すそんな前向きな女性が多くいらっしゃり、本当に素晴らしいことだと感じております。
 しかし、子育ては体力も忍耐力も求められる仕事です。そんな中でも起業を考える方に向けて、「無理をしないこと」「仕事と家庭生活のオンオフを使い分けること」「人に頼ること」「他者と比べず自分は自分だと思うこと」をお伝えしたいです。
 どのように起業に向けて進めていけばよいか迷ったら、武蔵小山創業支援センターにご相談にいらしてください。起業支援のプロと、同じような境遇で事業を進めている仲間と出会うことができます! 

子育て中に起業を志す方の参考になれば幸いです。皆様を応援しています。
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